トナカイ角エキス
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強靭な生命力を示すオットセイやヘビの体内に神秘的な力の根源が宿されていることを信じた古代の人々の知恵と洞察力は、鹿の角に潜む力をも見抜いてそれを生薬に変えた。マンシュウアカジカ、またはハナシカの雄の、まだ骨質化していない幼角を切り取って乾燥させたロクジョウ(鹿茸。漢方では参茸(じんじょう)ともいう)であり、強壮・強精・補血薬として今でも根強い愛用者が絶えない。薄く切ったものを酒に浸して飲んだり、粉末にして食べるのである。中国の古書『神農本草経』には「悪血、気を益し、志を強くし、老いず」と記されており、漢方では、たとえば鹿茸大補湯(ろくじょうだいほとう)に加えて煎じて飲用する。
同様のものとして犀角(さいかく)というものもあり、これはサイの角を削って乾燥させたもので、同じく漢方では解熱、解毒、血圧降下を目標にして、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とか升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)などに加味する。
こうして中国や日本でシカやサイの角が用いられたのと同じように、北欧ではトナカイの角が同様の目的で使われてきた長い歴史がある。そこで愛媛大学医学部医化学教室では、あまりにも高価なロクジョウに代わるべきものとしてトナカイ角に白羽の矢を立て、その主要成分をロクジョウと比べてみたところ、両者のペプチドアミノ酸組成は非常に類似しているが、含有量はトナカイ角の方が20%ほど多いこと、また、ロクジョウには遊離アミノ酸が含まれているが、トナカイ角には皆無であることがわかった。
さまざまな研究などでは、故意に停留睾丸にしたマウス(こうすると男性ホルモンが低下し、インポテンツと同様の状態になる)を使った動物実験で、トナカイ角エキス(粉末の水溶液から抽出)を投与すると男性ホルモンの低下が起きないことを実証した。その上で、インポテンツに悩む患者グループ20名への投与が行われた。実はインポテンツにはさまざまな原因・現象・程度の差があるわけであるが、こうしたことも配慮の上で実験が行われた。
1カ月後の結果は、1日25㎎を服用したグループでは3名が性交可能となり、1日50㎎のグルーブでは同じく3名が性交可能、3名が客観的にも主観的にも勃起の明らかな改善が見られたという。そして、このグループでは有効だったこの6名全員に、血中の男性ホルモンの上昇が確認されている。
主要臓器、中枢神経や自律神経、消化器などへの異常な作用のないこと、血漿トランスアミナーゼ(GOT、GPT)活性や運動障害性などへの影響が皆無であることが綿密にチェックされた上で、こうしたインポテンツヘの効果が客観的に確認されたことは、非常に稀なケースとして評価されて良いだろう。