甘草
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甘草(かんぞう)
甘草は漢方薬の処方に広く用いられている薬草であり、医学の原点といわれる『ヒポクラテス全集』にもその効用が述べれれており、洋の東西を問わず、その価値は高く評価されている。
特に漢方の古典『傷寒論』(しょうかんろん)には一味処方として紹介され、「急を暖め、諸悪を和し、百薬の毒を消す』と記されている。
甘草はマメ科の植物で、種類も多いが、漢方で用いるのはシベリア、蒙古、中国北部に産するウラル甘草。日本で見られるのはユリ科に属する野生の植物で、漢方の甘草とは異なる種類である。
漢方の甘草からは、制ガン物質のグルチルリチンという成分が発見され、1977年の国際細胞生物学会議で動物実験の結果が発表されて非常な反響を呼び、世界に注目された。以来、甘草あるいはグルチルリチンに関する研究が世界各国で行われるようになった。その結果、
- 抗胃腫瘍作用
- 電解質ホルモン様作用(細胞の活動を正常にする)
- 抗炎症作用
- 抗アレルギー作用
- 解毒作用
上記のような作用が認められたため、胃潰瘍やアレルギー性皮膚疾患、急性・慢性肝炎などの治療に利用されてきている。
特に、注目されるのは肝臓病に対する効果である。肝臓病に特効薬はないといわれ、最近問題になっているB型・C型肝炎の抗原の保有者の場合、一部は肝炎になるとそのまま慢性肝炎に移行し、さらに肝硬変へ進行するのを放置するしかなかった。中には肝ガンまで発展するケースも見られるのであるが、グルチルリチンは抗原保有者の発病を予防できるではないかと考えられているのである。実際の臨床結果を見ても、病気の進行を抑制する作用が認められている。
これに加えて制ガン作用も注目されている。動物実験で、殺虫剤のBHCや発がん物質のPCBなどを混ぜた餌を与えたマウスには肝障害や肝臓ガンが発生したのに対し、同時にグルチルリチンを混ぜた餌を与えたマウスは、肝障害はもちろん、肝臓ガンも発生しなかった。
グルチルリチンになぜこのような効果があるのか、制ガン作用についての詳細はまだわかっていないが、細胞膜を修復し強化する作用が関連していると考えられる。その結果、二次的に細胞の解毒作用が増加し、抵抗力が強まると考えられるのである。
ガンの原因の一つに、体内に発生する毒物を指摘する研究があるが、これを解毒する作用が強まるので制ガン効果が発揮されるのではないか、つまり、肝細胞が修復され、活性が高められ、発ガン物質を排出する機能が高められるのではないか?とも推測されている。