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胡麻油

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胡麻油(ごまあぶら)
古くから精進料理に使われてきた胡麻は、栄養の宝庫のような一面があり、古来、胡麻の効用は長寿、精力増強、美容、脱毛予防など、さまざまいわれているが、医学、栄養学などの発達により、今では科学的にも納得できるものとなった。

料理にかける一振りの胡麻油、ご飯や赤飯の上に胡麻塩を振るという日本の食習慣には、こうした効用への経験的理解も含まれていたわけで、日本の風土に合った健康食品の隠れた秘密だったのである。とくに胡麻は、乾物重量の52%を占める油脂分が主要な栄養成分となっている。

胡麻油の特徴は、その80%が不飽和脂肪酸であること。中でもリノール酸の含有量がとくに多く、油脂分の45%にも達する。そのほかに有効な不飽和脂肪酸としてオレイン酸(39%)、パルミチン酸(9%)、ステアリン酸(5%)などが含まれる。

リノール酸は、高血圧や動脈硬化などの原因となるコレステロールを取り除く作用があることはよく知られている。コレステロールは高等動物の血液や組織中に存在する脂肪の一種で、細胞膜の形成や胆汁酸の合成に必要なほか、ビタミンDの前駆体、ホルモンの合成原料になるなど体にとって一定量は必要な栄養素であるが、過剰に摂取すると血管に付着して血行を悪くする原因となり、さらに動脈硬化、高血圧を招き、脳溢血や心筋梗塞などの疾患を引き起こし、体全体の老化を早めるなどのマイナス要因となる。リノール酸はこうしたコレステロールを体内から徐々に減らし、健康な血管の維持・改善に役立つ成分であるが、もちろんこれも過剰摂取は成人病やアレルギーの発症の原因になることが指摘されている。

胡麻油に含まれている各種の不飽和脂肪酸は、体内に入るとリンおよび窒素と化合して、レシチンと呼ばれるグリセリン脂肪となる。レシチンは脳や心象・肝臓を構成する重要な物質で、とくに脳の場合は組織の重要な部分をなし、脳が活動するためにレシチンは欠かせない成分となっている。例えば、極度に緊張したり、思考力を必要とする仕事に長時間たずさわったりすると、レシチンの消費量が急激に増加する。このとき、レシチンを脳に補給しないと、記憶力が衰えたり、精神状態が不安定になり、うつ病が現れたりする。

人間が安定した精神状態を保つには、血液が弱アルカリ性であることと、ビタミン類が十分に与えられること、そして、レシチンが十分に補給されなければならない。胡麻油にはレシチンを形成する各種の不飽和脂肪酸をはじめ、血液を弱アルカリ性に保つのに必要なカルシウム、ビタミンEなどが豊富に含まれており、脳の活動にとっても大変優良な植物性油である。

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