紅花油
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紅花油(べにばなゆ)

紅花油は紅花(英語名「サフラワー」)の種子から搾り取った油で、リノール酸が全体の75%以上を占め、植物油のなかで最も多い含有量である。飽和脂肪酸の動物脂肪の摂り過ぎがコレステロールの増加を招き、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病(成人病)を引き起こすことになるが、リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防、改善に有効だとして紅花油に注目が集まった。
その効果を最初に実証した動物実験は、高血圧自然発症ラット(遺伝的に高血圧を起こすネズミ)をA、B、Cの3グループに分け、Aグループは粉末飼料、Bには粉末飼料にラードを添加したもの、Cには粉末飼料に紅花油を加えたものをそれぞれに与えた。
実験開始時には3グループとも、平均血圧が197mmと、高血圧の症状を呈していたが、まず、粉末飼料だけを与えていたAグループは、実験開始から終了までの5週間、ほとんど変化なく、高血圧症のままであった。Bグループには、初めの3週間だけラード(飽和脂肪酸)を加え、その後の2週間は粉末飼料だけにしたが、Aグループと同じく高血圧は改善されなかった。
最後のCグループは、初めの3週間に紅花油を加えた飼料を与え、その後の2週間は粉末飼料だけにした結果、1週間目で血圧が平均177mmまで降下し、2週目も、低い血圧を保ちつづけていた。しかし、紅花油の添加を止めた3週目以降はふたたび血圧が上昇してしまった。
この実験データから、紅花油の血圧降下作用が明らかとなり、以後、リノール酸について血液中のコレステロールを減らす働きのほか、リノール酸の一部が体内でプロスタグランディン(ホルモンに似た働きをもつ物質)に変わり、その一部が血管を拡張させ、血圧を下げる働きをもつことなどが明らかにされた。
リノール酸は1950年代後半以降のアメリカで脳血管障害や心臓病が多発し、それが動物性高脂肪食(飽和脂肪酸)の摂り過ぎによるとの指摘がされ、改善のためにn‐6系多価不飽和脂肪酸の代表格であるリノール酸の含有量の多い紅花油が推奨されたことが、大きな需要を生む契機となった。しかし、その根底にある油脂類の摂り過ぎ傾向は改まらず、リノール酸といえども過剰摂取はアレルギー症状、心疾患、老化などを招きやすくし、ガンの中でも大腸ガン・前立腺ガン・肺ガン・乳ガンなどはリノール酸との因果関係が強いとの研究発表もなされている。油脂の嗜好や、食物の過剰摂取はまさしく生活習慣であるので、リノール酸を通じてまずその悪しき習慣を改善することが求められていると認識すべきである。