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紫蘇の実油

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紫蘇の葉
紫蘇の文字は「紫色で生命を蘇らせるもの」の意味だとされ、古来「発汗・鎮嘔・鎮咳・利尿」の生薬として漢方の処方にも用いられ薬理研究の対象とされてきたが、食品としての紫蘇の実油にも大きな効用が次々に明らかにされてきている。

紫蘇の実油は、シソ科のシソ(学名Perilia frutescens)または同じ仲間のエゴマ(中国名「荏」、韓国名「白蘇」)の実から搾られるが、この油脂が近年脚光を浴びる理由は、他の植物油ではアマニ油以外にはほとんど含まれない「α‐リノレン酸」という脂肪酸が主体(含有量約70%)だからである。この脂肪酸の効用が明らかにされたことから、紫蘇の実油は「動物性脂肪」「リノレン酸主体の植物性油」に次ぐ”第三の油”として健康食品界で注目された。

紫蘇の実油の特徴を知るために油脂の性質について触れておくと、油脂を構成する脂肪酸は4~20個の炭素原子が鎖状に前後につながり、炭素原子それぞれの左右に1個ずつ水素原子が配置される構造をしているが、残らず水素原子が各二つずつ結びついた形のものを「飽和脂肪酸」と呼ぶ。しかし炭素の鎖の途中で隣り合う炭素同和が手を結び合う(ニ重結合といい、そこには水素原子が1個しか結びつかない)ものがあり、これが「不飽和脂肪酸」(ニ重結合が一ヶ所の場合が「一価不飽和脂肪酸」、二ヵ所以上の場合が「多価不飽和脂肪酸」)である。

このうち、炭素数18個の不飽和脂肪酸のうち、炭素の鎖の端(18番目)から3番目の炭素原子が二重結合しているものを「オメガ3系」と呼び、これがリノール酸(紅花油ヒマワリ油、コーン油などの代表的油脂)である。同様に6番目が二重結合しているものを「オメガ6系」と呼び、これが「α‐リノレン酸」で紫蘇の実油、アマニ油、魚油に多く含まれる。

リノール酸は体内で合成できず、しかも細胞の成長に不可欠なので必須脂肪酸と呼ばれ、コレステロール低減作用など優れた特性を持つ一方、

  • 体内で過酸化脂質を形成しやすい
  • 過剰摂取が成人病の誘因になる恐れもある
  • 体内で「炎症物質」を作りかねない

といった弊害も指摘され、その恐れのないα‐リノレン酸が注目されるとともに、その固有の効果が次第に明らかにされてきた。例えば乳ガンの抑制効果に関してはアメリカのE・キャメロン博士(カリフォルニア州癌予防研究所)、米倉郁美・佐藤彰夫博七(山梨大学)、長渾弘教授(明治大学)らが、大腸癌については成渾富雄助教授(秋田大学)、広瀬雅雄博士(名古屋市立大学)らが有効性を解明している。また、体液性免疫をつかさどるロイコトリエンがリノール酸から代謝された場合よりも、α‐リノレン酸からの場合の方が数十分の一も作用が穏やかで、アレルギーによる炎症反応に対し抑制的に働くことを奥山治美教授(名古屋市立大学)は報告している。その他、血圧の上昇を抑え、血小板凝集を抑制して脳梗塞や心筋梗塞を予肪するばかりか、α‐リノレン酸は体内でEPAを経てDHAに代謝されるため、その“健脳効果”も期待されている。

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