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自然塩

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自然塩(しぜんえん)
死海の自然塩
塩が生命の維持に欠かせない最重要物質の一つである。海に囲まれた日本では“たかが塩”と考えられがちであったが、精製された塩が主流を占めた近年、自然塩に含まれていたミネラル類を含む各種微量成分の働きの重要性が改めて見直されてきている。

地球上の生物は約38億年前に海で発生して海水中で進化を重ね、4億2000万年前頃にやっと陸上に上がってきたと考えられているが、こうした過程を経たために、生物にとって海水は切り離せない重要な役割を持つものとなった。人間の場合も、受精卵は胎内で進化の過程を辿って成長することが知られているが、そのときの母胎の羊水はミネラル類(ナトリウム、塩素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、酸化硫黄などの無機成分)の成分比率が、自然の海水と非常によく似ている。血液の組成も同様であって、人間は、現在でも海から生まれ、海を体の中に抱いているともいえる。

余談であるが、海水魚や貝を飼育するとき、海の塩分濃度(約2.8%)に合わせて精製塩を溶かした水を使っても、長く生かしておくことができない。自然の海水そのままか、もしくは未精製の天然塩(自然塩)を溶かして使わなくては駄目だといわれている。それほどに海水中の微量成分(有機質や酵素など、まだ未解明の成分なども含めて)が重要な役目をもっているのである。

塩は、古くは天日干しの塩田方式や弱い火力によってゆっくり煮つめる方法で生産され、その頃は海水中の成分をすべて含んだ塩が供給されていたのであるが、日本では昭和46年に塩業近代化がスタートして以来、従来の塩田は全廃されて工業的生産に切り替えられ、やがてイオン交換式(イオン交換樹脂膜電気透析法など)が主流を占めた。この方式によって得られる塩を、自然塩に対して化学塩とも呼ぶが、これによってほぼ純粋に近い精製塩となった反面、ミネラル類などの微量成分は失われることとなった。

栄養素やカロリー偏重の近代栄養学の弱点が見直される中で、食塩の微量成分にも照明が与えられたのは、比較的最近のことである。純粋なものが最善でないことは、玄米と白米の比較でよく知られるようになってきている。精白糖が虫歯を作りやすくしたり、骨をもろくしたり、血液の抗菌性を弱めたりすることもわかってきている。自然塩に本来含まれている苦汁(にがり)(硫化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムなどの総称)成分や酵素の働きに注目が集まって当然であろう。

このことは、西洋薬と漢方薬とを比較して考えるとわかりやすい。西洋薬は何らかの症状に狙いを搾って合成された純粋な化合物であり、服用に際しては同じ方法で作られた別の薬品を、例えば胃の保護とか、咳を止めるとか、熱を下げるとかの目的で補助的に混合させる。成分分析してみると、当然のことだが混入させた成分以外には何も検出されない。一方、何種類かの生薬が混ぜられている漢方薬の成分を検出してみると、あまりにも種類が多くて数えられないほどである。そしてそのどれが何に効くのかは完全にはわからないが、ゆっくりと病気は治る。しかも、医薬品工場で大量生産したエキス剤よりは、生薬をとろ火で煎じたものの方が効き目が良い。

こうしたことへの反省から、近年はタワー式天然製塩法なども開発されて自然塩に近いものを供給する努力が払われたり、精製塩に中国産のニガリを加えた、いわば“強化”型の塩も販売されたりしている。だが、仮にそれによって欠損ミネラル成分が相当量補給されたとしても、製塩過程で高温をかけるために、主要成分である塩化ナトリウム(塩の成分の98.5%を占めるNaCl)のナトリウム(Na)と塩素(Cl)の電子的結合が強固になり、閉殻という状態になってしまう。もともと塩は化学的に安定物質といわれているが、塩化ナトリウムだけのときに高熱を加えるとナトリウムと塩素の結合状態が一層強くなって離れにくくなってしまうため、体内でナトリウムを吸収しようとするときに塩素を離すことができず、塩素がいつまでも体内に残ってしまう。その塩素によって、細胞の収縮、劣化、於血(おけつ)の原因が作られてしまうと考えられるのである。

この考え方は、エキス剤よりも生薬方剤をじっくりと煎じて服用するほうが治癒効率が高いという事実に通ずるものがある。その観点から、現に汚染されていない海水を吟味して選択し、天日製塩のどの過程でも乾燥用に強火を一切使わず、どんな微量成分も除かず、ゆっくりと長時間をかけて本来の自然塩を作るということも行われるようになり、そうした製品もすでに市場に出回るようになってきている。

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