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冬虫夏草

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冬虫夏草(とうちゅうかそう)
冬虫夏草のセミタケ
子嚢(しのう)菌類の茸(胞子)が昆虫(一般には、蜂、蝶、蛾、蜘蛛、甲虫類などの幼虫、さなぎ、成虫)に寄生してその体内に菌核(きんかく)を充満させ、時期が来るとその頭部や間節から棒状の子実体(しじつたい)を伸ばしたものを総称して「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」(和名フユムシナツクサタケ)という。「冬虫夏草」の文字は、夏になって虫が茸に変ずる様を表しており、中国では「虫草」とも呼び、四川、青海、チベット高原地帯が産地として特に有名だが、日本固有の20数種(クモタケ、セミタケ、カメムシタケなど)や中国特産の60数種類を合わせて世界的には350~400種ほどが知られている。虫体をつけたまま採取して、全体を陰干しにして用いる。

中国最古の薬書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』を初めに古典にたびたび顔を出す冬虫夏草は、秦の始皇帝や楊貴妃が不老長寿を願って求めたと伝えられるように、伝統的に滋養強壮を高貴薬として尊重されたようであるが、その薬効について触れられた本草書は、清の呉儀洛の『本草従新』(1757年)に「肺、腎を補う・・・」とあるのが最初とされる。この『本草従新』よりも30年ほど前(享保13年)に、日本へ中国から冬虫夏草がもたらされたことが『聊需志仕外集』に記載されている。

近年の日本における冬虫夏草の研究は、検体入手の道がついた20年ほど前から始められたが、やがて中国から中枢神経への作用(鎮静作用)、免疫作用、抗ガン作用、心血管への作用(動脈硬化など)、呼吸器系への作用(喘息・咳嗽など)、糖尿病の改善などのエネルギー代謝の調節作用、精力強壮作用など、万能とさえいえる効能が伝えられて以来、多くの研究者や研究機関によって抗ガン作用を初め、虚弱証・貧血症・インポテンツなどへの有効性、血圧調節作用、気管支拡張作用など画期的な研究成果が次々に報告されてきた。その過程で“薬効随一”の評価を得てきたのがチベット高原で採取される天然産品で、これはバッカク菌がコウモリガ(蝙蝠蛾)の幼虫に寄生したもの(学名 Cordyceps sinensis)で、この種を特定して「冬虫夏草」と呼ぶこともある。

しかし、どの種であっても天然品は希少資源で十分に需要をまかなうことが出来ないために人工栽培も試みられ、北京医科大学や日本では吉井菌学研究所などで成功している。

一方、天然品のように子実体を育てるのではなく、人工培地で菌糸体(茸でいえば地下部分)を培養して純粋な有効成分を得ようとする菌糸体培養の試みが浙江省の杭州保霊健康食品公司で成功し、定評ある青海産種の菌株を用いた高品質の製品が供給され始めている。浙江省中医研究所などの成分分析によれば、天然品の特有成分であるコルジセピン、ウラシル、ウリジン、アミノプリン、エルゴルテリンなどの含有量は全く遜色がないという。同様の菌糸体培養は日本でもハナサナギタケを用いて成功し、医学的に貴重なデータが集められている。

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