梅
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梅(うめ)
梅は、古くから日本人は医食の両面にわたって利用してきた貴重な健康食品である。原産地は中国の四川省、湖北省方面にあり、3000年前に書かれた中国医薬書の古典『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』にも梅の薬効が説かれており、この時代から健康に役立つ食品として知られていた。
日本には奈良時代に伝わり、花の美しさの故か和歌にも詠まれている。平安時代には当時の医薬書である『医心方(いしんほう)』に梅干の薬効が記されている。その後、禅僧が食事に梅干を添えたり、戦国の武将が「のどの渇き「息ぎれ」などを防ぐために携帯したと伝えられ、一部の人々が健康食品として大いに利用していた。一般大衆に広く普及したのは江戸時代の初期である。
梅の薬用効果を強化したのが梅肉エキスである。この原型は中国の烏梅(うばい)(梅の実をいぶしながら乾燥させたもの)にあり、これをさらに発展させたのが日本独自の梅肉エキスで、江戸時代の医療書『諸国古伝書秘方』には「青梅を沢山にすり、搾り汁を天日に乾かし、かきたて、ねりやくの如くになるときに、甘草五分の一を入れてねるなり」と、当時の製法が記され、その薬効については赤痢や腸チフス、食中毒などの伝染病から、吐き下しや下痢、便秘や消化不良などが示されている。
現代の医学や薬学的見地からも認められる効用を簡単にまとめると、次のようになる。
- 血液を弱アルカリ性に保つ浄血作用があり、新陳代謝を活発にして、体の諸器官を正常化する。
- クエン酸の働きで、疲労回復に効果的である。クエン酸は疲労の原因となる乳酸の発生を抑える働きがあり、疲労回復のほか肩こり、首のこり、足腰のだるさという症状に効果を発揮する。
- 老化防止が期待できる。乳酸が蓄積されると、細胞が老化し、動脈硬化、高血圧、肝臓病、神経痛、リューマチなどの成人病、いわゆる老化現象を促進する。梅はクエン酸で乳酸を抑えるとともに、血液をアルカリ性に保ち、カルシウム・イオンの作用で乳酸を排出する作用があり、老化防止に有効である。さらにクエン酸が若返りホルモン「パロチン」の代謝を活発にさせるので、二重の老化防止効果がある。
- 肝機能を高める(強肝作用)。梅に多く含まれている有機酸の一つのピクリン酸には肝臓の機能を高める作用があり、そのため、乗り物酔いや二日酔いには特に速効性がある。
- 体内からの美容効果のほか、整腸作用に優れ、便秘や下痢に利く。梅に含まれているカテキン酸は、腸の働きを活発にする作用があり、便秘に効果がる。その結果、美容に大敵であるニキビや肌荒れに対して効果的な働きをする。
- 殺菌作用が強く、腸チフス、コレラ、赤痢菌などに非常に強い殺菌・抗菌力を発揮する。下痢したときに梅肉エキスを飲むとよい。
- ストレスの多い現代人は、自律神経の異常から胃酸の分泌がアンバランスになり、胃潰瘍を招くケースが多いが、梅は各種有機酸の相乗作用で胃液の分泌を調え、胃潰瘍を予防する。