莪朮
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莪朮(がじゅつ)
インド原産の多年草(学名=クルクマ・ゼドアリア)で南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄県、それに屋久島、種子島で良品質を産する。別掲のウコンの仲間で、里芋に似た直径4~5㎝卵形の根茎の断面が淡黄色、中央部が淡い紫色を帯特有の芳香と非常に強い特微的な苦味を持っているが、それを薄く切って観想させ粉末にしたものが生薬として用いられる。その形と固さと顕著な薬効によって日本では古くから「弘法大師の石芋」とも呼ばれたりした。
中国薬物書の古典『本草綱目(ほんぞうこうもく)』(李時珍著)は主治として消火器病、感染症、神経症、血の道症、腫瘍、小児喘息などを上げて紙幅を割き、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆於血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されており、現行の日本薬局方にも薬草として収められ、莪朮を主剤とした漢方薬もあるが、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も盛んに行われ、全量の約1~1.5%にあたる精油成分からは多くのモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン類(アズレンなど)、クルクミン類など、微量成分を含めると100種近くが検出され、それらの作用機序が解明されてきた。
芳香性があるため飲んだときに胃の中がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので、消化力が高まるという健胃効果をもたらす。さらにシネオ-ルには胆汁の分泌を促す作用があって消化を助けるとともに、血中コレステロールを下げる働きもし、また、相当強い殺菌・防腐作用を持っており、同様の作用はカンファーという成分にも備わっている。カンファーはカンフル剤の主成分で強心作用がある・・・というように、多様な成分の相乗作用によって生ずる非常に多岐にわたる効果が相次いで報告され、たとえば東京薬科大学ではマウスによる実験で、莪朮のエキスに効腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また、国立小倉病院では臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸腫瘍・慢性萎縮性胃炎の元凶と見られている細菌のヘリコバクター・ピロリが、ガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。愛媛大学医学部の研究グループは、アルコール抽出分画にアレルギー物質となるロイコトリエン生成に関わる5-リポシゲナーゼを抑制することを見出しており、これは莪朮が抗アレルギー作用を有すると思われ、今後の臨床的成果が待たれる。中国では、抽出液の注射で子宮ガン、皮膚ガン、口唇ガンなどに著効を見たという報告も多い。
その他の慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、高血圧、高血糖といった重い疾患以外にも、にきび、しみ、口臭、便秘、肩凝り、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症、といった日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な事象も報告されてきている。