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ケフィア

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ケフィア(Kefir / Kefyr ケフィール)の名は日本ではヨーグルトほどポピュラーではなかったが、コーカサス地方で常用される歴史的な発酵乳飲料(酸乳飲料)で、近年その健康への効果が再認識されて一挙にクローズアップされてきた。ちなみにヨーグルトは主に牛乳に乳酸菌(ブルガリア菌、テルモフィルス菌、ラクチス菌など)を加えて発酵するが、ケフィアは現地ではヒツジ、ヤギ、ウシの乳を一度加熱、冷却したあと、「ケフィア種(種菌)」を加えて一昼夜発酵させる。すると「ケフィアグレイン」とも呼ばれる黄色のカリフラワー状の塊ができるので、そこへさらに数倍量の加熱殺菌済み冷却乳を添加し、2~3日してから飲むことが行われている。

ケフィア種は乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)、乳酸球菌などの乳酸菌、および特殊な乳糖発酵酵母からなるが、その発酵過程はまず乳酸菌発酵によって酵母の繁殖に適した酸性条件がつくられ、次いで酵母によるアルコール発酵でケフィアに酸味と泡立ちが与えられる。

類似の発酵乳に中央アジアの遊牧民が馬乳から作るクミス(Kumys)があり、腸疾患や貧血などへの薬効が認められているが、ケフィアについては早くも1877年にロシアの学者が胃腸病、便秘、下痢、糖尿病への効果を報告、1908年にはロシア生まれのフランス人でノーベル生理学医学賞を受賞したメチニコフ博士が「ケフィアは腸内の悪玉菌を抑え、免疫能や生理機能を高め、動脈硬化を改善し、老化を予防する」という主旨の長寿論を発表した。この頃からコーカサス地方の住民が長寿であることに強い関心が払われるようになったが、とくに1970年代以降は世界的に研究が進み、アメリカ、旧ソ連、ハンガリー、日本などで相次いでケフィアの血中コレステロール低下作用、心臓・腎臓病の改善、肥満の解消、肝臓の再生機能の賦活(ふかつ)、ウイルス感染抑制作用、がん細胞増殖の抑制などの研究発表がなされた。

制がん効果については日本国立予防衛生研究所などが研究をしている。研究ではICR系マウスのエールリッヒ固形腫瘍に対するケフィアの抗腫瘍作用を経口投与で検討し、有効であることを確認した。その他の研究発表の中で「これらの抗腫瘍作用は、腫瘍細胞に対する直接作用ではなく、免疫系、とくにマクロファージを介した作用であることが明らかにされつつある」と述べられ、「ケフィアに抗腫瘍作用が経口投与で認められたことは意義深い」と結んでいる。

ケフィアの乳酸菌や腸管内のビフィズス菌(善玉菌)が酵素によって養分の消化吸収を助け、ビタミンやタンパク質の合成をする一方、ウエルシュ菌など悪玉菌の増殖を抑え、それらが産生する活性酸素や有害腐敗性物質を抑制することで、がんの予防に繋がるとする研究もなされている。

なお、ケフィア種(種菌)を入手して自分で牛乳に加えて発酵させるのが「ヨーグルトきのこ」だが、よい菌を選び、作り方と管理法に慣れないと雑菌が混入して腐敗、食中毒を起こす恐れがあるので十分注意してほしい。

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