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酵母

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酵母(こうぼ)
酵母の顕微鏡写真
酵母は、糖分に作用してアルコールと炭酸ガスに分解する働きをもつ発酵菌(イースト)である。
発酵食品といわれる味噌、醤油、パン、アルコール飲料などは、この酵母の作用を利用してつくられている。こうした食品を見ればわかるように、ある食物を酵母によって発酵させることで、新しい食品に変えることができる。

また、酵母には次に述べるように生体にとって重要な働きをもつ多くの酵素も含まれ、その中には医薬品として利用されているものもある。

さらに、酵母の有効成分としては、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類などの栄養素も含まれ、これらの栄養素は酵素の働きと相まって、代謝活動を活発化する効果がある。

酵母は当初、皮膚病や有害菌(ブドウ状球菌など)の感染、伝染病(腸チフス)に対する治療に用いられていたが、その後、1910年に酵母中からビタミンB1が発見されたことから、ビタミンB1欠乏症の脚気の予防や治療にも使われるようになった。

一方、第1次大戦中のドイツでは、酵母のタンパク質に注目して、酵母を「人造肉」と名づけて供給したこともあることは有名な事実である。

酵母は優れた栄養成分と有効成分を含んでいるわけであるが、現在知られている酵母のなかで、もっとも栄養価値が高く、薬効をもつといわれるのが、ビール酵母である。そのため、ビール酵母をそのまま乾燥させたものが医薬品として販売されている例(「エビオス」)もある。

このビール酵母には、ビタミン類が豊富で、B1、B2、B6、B12、ニコチン酸アミド、パントテン酸、コリン、葉酸、L2=アデニールチオメチールペントーゼヽイノジットヽビオチンなど十数種に及ぶものが認められている。さらに酵素類ではマルターゼ、ラクターゼ、アミラーゼ、トリプシン、インベルターゼ、メルビアーゼ、エレプシン、リパーゼ、ペルターゼ等の消化酵素をはじめ、酸化還元酵素のグルチオン、カタラーゼ、チマーゼなどがある。

さらに、ミネラル類も豊富なほか、エルゴステリン、レシチン、核酸、グリコーゲンなども含まれている。このうち核酸は生命をつくる基礎的な物質として成長、生殖、遺伝などに関係する重要な物質であり、代謝作用にも大切な働きをしている。酵母核酸を動物に与えた実験では「寿命が延びた」という報告がある。

また、高血圧症への有効性や、ビール酵母に発ガン抑制作用があったという報告もあるが、こうした効用はほんの一部で、ビール酵母だけでも胃腸疾患から便秘、肝臓病、糖尿病、肺結核、皮膚病、神経痛、白内障など、大変に幅広い効用が認められている。

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